宮城県白石市は、同市小原の屋内プール施設「スパッシュランドしろいし」について予定通り本年度末で休館することを決めた。県内で最大震度6強を観測した今年3月の地震による被害もあり、事実上閉館となる。市は小中学校プールを兼ねる施設の新設を検討する。
当初は2020年度末に休館する予定だったが、東京五輪パラオ代表の練習場確保や指定管理者の業務委託期間を考慮し、22年度末に延期していた。営業譲渡も模索したが、進展はなかった。
3月の地震では50メートルプールの天井が被害を受け、換気口の吹き出し口が落下した。市まちづくり推進課は「天井を直すとなると、安くても1億円前後はかかる」と話す。地震後、修繕はされず、プールも使えない状況が続く。
9月にあった市議会決算審査特別委員会の質疑応答で、市側は「来年3月末での休館を検討せざるを得ない」と回答した。取り壊しの計画はない。「建物の修繕費や維持費を考えると新しいプールができてしまう」(市幹部)と今後の活用には否定的だ。
市は8月、幹部職員らによる「市民プールおよび小中学校プールのあり方検討委員会」を設置。市民の健康増進を目的に新設の検討に入った。本年度は市内の小中学校3校が老朽化などの理由で民間のプールを利用したこともあり、年間を通じて授業で使える屋内温水プールを模索する。
検討委をまとめる菊地正昭副市長は「検討委では利便性を考えて市中心部周辺がいいのではとの話も出ている。新設に向けて3年後には工事に着手できるよう協議を進める」と話した。