広島から退職と同時に移り住んで一年半になるが「何故ここに?」と聞かれる。会社勤めの転勤族で娘も独立したため、落着き場所の制約もなく三つ程の条件に合う所を探した。
今まで暮らしてみての感想であるが、まず自然の中での暮らしは文句なく素晴らしい。皆さんが異口同音に称える冬を耐えた後の木々の芽吹き、新緑の鮮やかさ、クーラー不要の涼しい夏、秋のクヌギ、楢の木立の一面の紅葉、そして蔵王おろしというおまけがつくが白銀の冬、又ちょっぴり嬉しいのは、ベランダに向日葵の種を催促に来る山雀などの小鳥達に会えることである。次にテニスについては、近くのサンスポーツランドは、オム二コートで何時でも利用出来るし、鳥帽子岳の麓で楽しめる環境は都会では望むべくもない。そしてそこで知り合えた、その道の師匠に登山の楽しさを教えて貰ったり、スキーを勧められたり趣味も広がり三十年ぶりのスキーもはまりそうな予感がしている。魚については、瀬戸内海の小魚に軍配が上る様な気がするが、採れたての野菜、山菜、茸などは素晴らしく補って余りある。ここでの暮らし方としては別荘として時々楽しむか、定住するかに分れるが、朝起きて天候を見てから、思いつきで登山あるいはスキーなどが出来るのは最高の贅沢だと思う。
この様に合格点のつく暮らしではあるが少々の不安は齢をとって車の運転が出来なくなった時の事である。高齢化に対応した種々のサービス及びシステムが出てくると思うがこの山水苑の中でお互いに助け合う仕組みが出来る様に期待し、又その中で役に立つことがあればと思う。
私の好きな方言に、感謝の気持ちを表す「おしょうしな」という言葉がある。おしょうしな!蔵王、おしょうしな!山水苑と言いながら出来るだけ長くこの地に住みたいものである。