宮城の沿岸、津波に警戒 イベント中止相次ぐ

太平洋側全域を中心に津波警報と津波注意報が16日未明に発表されたのを受け、宮城県内の各沿岸自治体は注意報の発表直後から避難指示や避難所開設などの対応を急ぎ、住民に警戒を促した。
仙台市は宮城野、若林両区の小中学校3カ所に避難所を開設し、避難者を受け入れた。屋外の拡声装置や戸別受信装置で津波注意報の発表を伝え、ヘリコプターからはサイレンを鳴らして注意喚起した。

 石巻市は沿岸部の2万5770世帯5万3595人に避難指示を出し、7カ所に避難所を設けた。高台にある日和山公園に避難した東松島市の女性会社員(21)は「サイレンの音に驚いて逃げてきた。震災を思い出し、すぐ家族に連絡した。高い場所に来られて安心した」と話した。

 多賀城市は12カ所に避難所を開設し、最大で約60人が避難した。家族4人で多賀城小に身を寄せた同市の会社員佐久間昌弘さん(50)は「午前2時ごろ一度家に帰ったが、頻繁に流れるサイレンの音が恐ろしく、不安で眠れなかったので再度避難した」と話した。

 東松島市は沿岸部の370世帯933人に避難指示。17カ所に避難所を設け、うち4カ所に最大12人が避難した。市担当者は16日午前の取材に「岩手に津波警報が発表され、県内でも注意報が継続している。地震による津波とは異なる状況」と戸惑いを話した。

 気仙沼市は17カ所に避難所を開設し、最大18人が避難。16日午前、市危機管理課の担当者は「注意報解除の見通しが不透明で不安だが、情報収集しながら対応していく」と語った。

 名取市は指定緊急避難場所9カ所を開き、最大14人を受け入れた。岩沼市は市民会館に指定避難所を開設。会館の駐車場に避難した車両も十数台あった。

 塩釜市は20カ所の指定避難所を随時開設。午前2時半には避難所や市役所などに43人が身を寄せた。

 亘理町は1948世帯5154人に避難指示を出し、5カ所に避難所を開設。最大15人が避難したほか、約50台の避難車両があった。山元町は776世帯1882人に避難指示し、避難所3カ所を開設、最大32世帯58人が避難した。

 他にも女川町が町内沿岸部に避難指示を発令。松島、七ケ浜、利府、南三陸町などが避難所を開設した。
商業施設は臨時休業
 津波注意報が発令された16日、宮城県内は公共施設の休館やイベントの中止、商業施設の休業が相次いだ。

 仙台市は若林区の東日本大震災遺構「荒浜小」を臨時休館。石巻市の石巻南浜津波復興祈念公園内の「みやぎ東日本大震災津波伝承館」も休館となった。

 気仙沼市は市東日本大震災遺構・伝承館、市パークゴルフ場、観光物産施設「海の市」、唐桑半島ビジターセンターを臨時休業。塩釜市、多賀城市も図書館などの公共施設を休んだ。女川町ではテナント型商業施設「シーパルピア女川」、地元市場「ハマテラス」で一部店舗が休んだ。

 イベントでは、仙台市宮城野区の夢メッセみやぎで開催予定だった「デサントスペシャルセール」、七ケ浜町で町産ノリをPRする「N−1グランプリ」などが中止となった。

 商業施設では、藤崎が石巻、塩釜、気仙沼の3店の開店時間を遅らせた。仙台三越は石巻三越(石巻市)を臨時休業。みやぎ生協(仙台市)も大代店(多賀城市)とA&COOP松島店(松島町)の営業を避難指示解除まで見合わせた。

 仙台市宮城野区の仙台港周辺では、カインズ仙台港店が臨時休業。三井アウトレットパーク仙台港は一部店舗が休業したり、開店時間を遅らせたりした。
山水苑日記 | 2022.01.17 08:00
蔵王山水苑のホームへ
情報誌「やまぼうし」