全国の農業高校で肥育された和牛の品評会「第5回和牛甲子園」(1月21日、東京)の出品牛2頭が、サンマリ系列の宮城県内のスーパー計20店で販売されている。宮城農高(名取市)と小牛田農林高(美里町)の生徒が愛情を込め、最高級の仙台牛に育て上げた。両校の生徒は「命への感謝の気持ちを忘れずに食べてほしい」と願う。
スーパーで販売「悲しみ越え、誇らしく」
販売されるのは、和牛甲子園初出場で「高校牛児(ぎゅうじ)特別賞」を獲得した宮城農高の「みやのう7号」(29カ月)と、4回目の出場となった小牛田農林高の「ふくふく号」(32カ月)。共に雌で、県の基幹種雄牛「茂福久(しげふくひさ)」を父に持つ。
みやのう7号は11日に販売が始まった。約150キロが切り落とし(約300グラム、税抜き1780円)やサーロインステーキ用(約200グラム、同2980円)など約20種類の商品として店頭に並んでいる。
宮城農高農業科3年若松彩唯華(あいか)さん(18)は「サン・マルシェ荒井店」(若林区)で14日、みやのう7号を買い物客に紹介した。愛称「コンペイトウ」の名付け親でもある若松さんは「高校生活を共にしたコンペイトウは、私にとっての青春。屠畜(とちく)されたと聞いた時は悲しかったけれど、お店で姿を見たら『今まで頑張ってくれてありがとう』という誇らしい気持ちになった」と明かす。
ふくふく号は26日から約300キロを販売する予定。2頭はなくなり次第、販売終了となる。全農県本部の大友良彦本部長は「2頭は生きた教材で、その価値は高い。次代を担う若者が育てた仙台牛を多くの消費者に知ってほしい」と話す。